以前の記事で、齋藤織物の唐織は、経糸に「だるま糸」という絹糸を使っている、というお話をしましたが、
今回は唐織の緯糸と製織のことをお話しします。
まず、ご存知かもしれませんが、唐織の帯には、無地の部分(下の写真の赤い箇所)と文様の部分があります。
無地の部分を織るときは、手前の経糸を筆で水を塗ってから、
細い片撚りの絹糸を管に巻き、水に浸けておいたものを、緯糸として織っていきます。
これを「濡れ緯(ぬれぬき)」と呼んでいます。
糸を濡らすことで、緯糸がたくさん入るようになり、密度が高くよくしまった生地が出来上がります。このひと手間がとても大切です。
文様部分には、同じく片撚りの絹糸を、今度は40本ほど合わせたものを使います。文様をふっくらとさせ、柄にボリュームを持たせるためです。撚りを少なくすることでで、絹糸本来の艶が出ます。
このボリューム感はなかなかほかの帯には見られません。
こちらの糸のほかに、金糸や銀糸もふんだんに使います。
緯引き(緯糸を通すこと)の力加減が織り物の仕上がりを左右しますが、手織りで織ることで糸によってその加減を調節できます。
織り上がった帯地は、仕上げに蒸気を当てる加工をします。緩んだ経糸に張りが戻り、生地に独特のシャリ感が生まれます。
ありがたいことに、手織りの帯は身体に馴染んで締め心地が良いというお声をいただきます。こだわりの糸と職人の技術により生まれる齋藤織物の唐織は、まさに手織りだからこそ織れる織物です。みなさまぜひご堪能ください。