【織物のはなし】齋藤織物の唐織(その1)

齋藤織物の唐織、何が特別なの?なぜ手織りで織っているの?ということについて、今回は少しご紹介したいと思います。

まず、織物は、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)でできていますが、
齋藤織物の唐織の経糸には、滋賀県の「江州だるま糸」という、貴重な絹糸を使っています。
「だるま糸」は、生繭を座繰り製糸機で手引きした糸で、現在製糸しているのは全国で2ヶ所のみ。生産量が少ないので、織物の原料としては大変貴重です。ちなみに、「だるま」というのは、その製糸機の名前です。だるま糸は、三味線の弦などにも使われています。

  

なぜこのだるま糸を使っているかというと、
齋藤織物では唐織の絵緯(えぬき)糸に、細い絹糸を約40本も合わせて太くした糸を使い、柄にふっくらとしたボリュームを出しています。
経糸が柔らかいと、この太い緯糸を支えきれません。
だるま糸はセリシン(たんぱく質)の多い生繭からとれた糸なので硬く、経糸に用いると、張りがあり、しなやかな織り上がりになります。
かっちりとした経糸なので、緯糸が太くてもしっかりと受け止めることができる、というわけです。

さて、そんな唐織、なぜ手織りで織っているの?というところは、また次回ご説明したいと思います。


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